「人生百年時代」の到来

伸びを続ける平均寿命

日本人の長寿化は着実に進んでいる。平均寿命をみると、バブル崩壊の年である 1990 年には、男性 75.9 歳、女性 81.9 歳だったものが、2019 年では、男性 81.4 歳、女性 87.5 歳となっている。30 年間で平均寿命は男女とも 5 歳強、長くなっている。「失われた 30 年」と揶揄されるようにバブル崩壊以降、GDP のランキングは下がるなど日本経済は伸び悩み、産業競争力は低下の一途である。しかし、寿命に関しては、男性はスイスに次いで世界2位、女性は断トツの世界1位であり、「ぶっちぎり」の競争力を維持している。

「コロナ禍」に見舞われた 2020 年も変化はない。感染防止の取り組みもあり、コロナによる死亡増よりもインフルエンザ等の減少の寄与が大きく、2020 年の死亡者数は前年を下回っている。50 万人を超える死亡者を出し、寿命が1歳短くなった米国とは異なっている。

「人生 90 年時代」から「人生百年時代」へ


1954 年(昭和 29 年)生まれの人が 90 歳ま

で生存する確率は、男性で 36%、女性で 62%

となる見込みである(図表1)。男性ではなお

少数派だが、女性では 90 歳まで生きる人が多

数派であり、100 歳までの人も 16%と稀では

なくなる。彼らの親世代(1924 年<大正 13 年

>生まれ)と比べて、寿命は大きく上昇してい

る。今後のさらなる長寿化に伴い、男性の「人

生 90 年時代」、女性の「人生百年時代」が現実のものとなっていくと予想される。



体力の若返りも進んでいる


「長生きできても健康でないなら、有意義な

活動ができないのでは」との意見がよせられ

そうである。しかし、高齢者の体力の若返りも

着実に進展している。6分間歩行で歩ける距

離をみると、2019 年の 75~79 歳の男性は、

1998 年の 65~69 歳と同レベルとなっており、20 年間で高齢者の体力は 10 年若返ってい

る(図表2)。実際、京都でも、多くの 80 代・90 代の方たちが企業経営や文化など各方面

で活躍している。「失われた 30 年」のもとで得られた数少ないメリットを、今後、どのよ

うに活かしていくかが、日本経済復活のカギになってくるのではないだろうか。


 

Writer:肥後 雅博 東京大学大学院経済学研究科教授・前日本銀行京都支店長

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