竹内美術店オーナーの独り言 4

美術品の価格について 今年のオークションの結果を見ると美術品においては、年始からとても価格が高いように思えます。コンテンポラリーアートはとても高くなっており作品によっては半年程で2倍や3倍になっているものも中にはあります。


これはあくまでも個人的な見解ですが、この結果を見ていると純粋なアートコレクターだけが購入しているとは到底思えないのです。


そこには一つの投機的な部分が多く入っています。その中には日本人の作家は数人、海外の作家も数十人いて、価格が急激に上がっています。


これは80年代のバブル期も同じ傾向が見られました。しかし急激に上がった作品の価格は必ず調整されます。価格に振り回され、価格を重視して買うということはとても危険な買い方なのではないでしょうか。


来年もおそらくアート市場はかなり強い相場が続くと思います。また新たなスターが必ず出てくるような気がしています。長い目で見ていないと1年、2年の単位で見ていては今のこの投機的なアート市場は掴みきれないところがあるのではないでしょうか。


現在、日本の美術市場では欧米やアジアの人々がどの作家のどの作品を買うかに日本人が迎合するというパターンが非常に多く見られます。日本人自身が先に買い始めることは非常に少ないのでもう少し積極的に文化、芸術に心を傾けてほしいと思っています。昭和の時代まで日本にはビッグコレクターが沢山いて、様々な作品を自分達の目で選び、その作家の人となりを見てパトロンになった人も多勢いましたが、今は恐らくそういった人達は稀になっているのではないでしょうか。


日本はGDP3位の国で金融資産もかなりの額を持っているにも関わらず、心が貧しくなっているせいなのかお金を貯めることが良しとされ、会社も利益を出して貯めることが良しとされているため、社会貢献等に対して海外から見ると日本は脆弱に見えてしまいます。ここには税制の問題もあります。美術品に対する税制は海外に比べて日本はかなり不利な立場にあるため、文化や芸術を今後も繁栄させていこうとするならば、かなりの障害になります。日本の文化は世界でも特異なものでもあり、それをこれから先に発展させていこうと思えば、やはり税制という部分を海外に見習って考え直していかないと難しいという気がします。


例えば音楽の場合、著作権ができていて、作品を自分の手から離したとしても作家にはリターンが定期的に入ってくる仕組みになっています。しかし絵画や美術品の場合はそうではありません。海外ではリターンを出しているところもありますが、日本は違います。


どの様な人でも音楽を聴き、映画を鑑賞し、読書し絵画を楽しむ事などは当たり前のようにしていることです。それを長い間積み重ね続けることによって日本の文化も出来上がって成り立ち、それが世界に認められていることも事実です。


今の日本では文化や芸術を育てよう、未来に永続的に維持していこうとする観点が欠けているのではないでしょうか。こういったやり方を続けていくと恐らく日本の文化は消えていくだろうし、海外に流出していくのではないかと思います。


海外の芸術や文化に触れる機会を作り、日本の文化とどのような違いがあるのか、どちらが好きか嫌いか等を個々に判断できるような環境整備をしていかなければならないのではないでしょうか。

 

Writer:竹内 丘 竹内美術店オーナー

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